小説


とかげの月

吉秒匠 Yoshinogi Takumi



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とかげの月 / 写真




更新履歴/ 「徒然」はつれづれに随時更新。


2017/06/22
『写真』

彼らが何者であるのか。
私は知らない。
でも、記憶がある。
変形と呼ぶには稚拙な、
金属のつま先が半回転して、
尾翼ですよとかいうギミック。
意味もなく、さわっていた。
全長7センチ。
子供の手にも収まる。
父親の転勤が多く、
親戚中でもっとも早い生まれ。
お下がりというものがなく、
私の所有する玩具の多くは、
黙らせるために買い与えられた、
出先での小物の類が多い。
ミニカーに興味はなかった。
物語を紡いでいたのを、
はっきりおぼえている。
喫茶店のグラスや灰皿。
車窓の風景。
そういったモノと戦うには、
小さな戦士が良かった。
彼らはタカラ社製である。
その刻印は読みとれる。
(名前も刻んで欲しいものだ)
そうすると記憶が混乱する。
タカラ社製といえば、
10センチほどの戦士人形。
全身関節可動のフィギュア。
ミクロマンが有名である。
私も持っていた。
というか大好きだった。
ねだって何体かは買ってもらい、
絶えず携帯していたほどに。
そのはずなのだが……
実家で見つけた「匠の箱」には、
ミクロマンがいなかった。
同じサイズのロボはいたのに。
可動関節のせいだろうか。
壊してしまったのか。
ふたりの弟がいるが、
やつらが遊んでいるのを、
見た記憶はない。
四六時中携帯していて、
世界とともに戦い続けた。
明瞭な記憶が残っているのに、
ミクロマンはいない。
なあ、あいつらどこ行ったん。
名も知らぬ彼らに訊く。
戦ったやん、いっしょに。
彼らは答えない。
ミクロマンをなくして泣いた。
そんな記憶はない。
息子に与えようかと思っていたが、
彼らはいまも私の目の前にいる。
一瞬で壊されそうなんだもの。
いま壊されたら記憶に残る。
たぶん、棚に飾ったままになる。






































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いま。ここに在る、あなたを愛してる。

でも…………まだ、秘密。

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徒然<白鏡> 徒然<白鏡>



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